私は、ミニマリストについてまったく深い知識はない。
先に述べたように、ミニマリストの基本的な考え方を、身の回りのモノを最小化することであるといったことだと仮定する。多分、専門的には、そう単純化すべきでないことはあるだろう。ただ、基本はこの考え方とする。

その前提でこの考え方を人間関係資産に適用するとどうなるか?
できるだけあなたの人間関係を最小化することが善であることになる。
私が、人間関係資産論論で唱えている、人間関係は質量を増やすことが善である、という基本とはあい反する考え方になる。

よく考えると、人間関係も、ただ増やすことだけがいいことであるというのは、単純すぎる表現である。
特に、若い時代における人間関係は、そう言っていい。しかし、私のように、人生50、60年などとっくの昔に過ぎた人間にとっては、ミニマムにするのがいいかどうかは別にして、とにかく増やせ、というのは違和感のある主張だ。むしろ、終活の一環として考えるなら、ミニマリストの主張の方が当たっているのかもしれない。

つまり、直観的には、人間関係資産論論は主として若者向けの理論といえるかもしれない。しかし、現在や将来を担っていく人をサポートする役割で、シニアは人間関係資産論論を支えるべきではある。自分自身のための人間関係資産を増やすことは、ケースバイケースであるが、一般論としては慎重に扱う必要があるかも知れない。
(井野)