結構長く生きてきた。思い出しても、いろいろな局面がある。
別に、人生のまとめを意識しているわけではない。走馬灯のように駆け巡っているわけでもない。

しかし、ほんのふとした心の揺れや思い付きで行ったことが、その後の人生を大きく左右することがあった気がする。
日頃から思い悩んだり、真剣に考えた結果でなく、まさに「何となく」、深い考えもないままに行ったわずかな決断が、人生の進路を大きく舵キリしたと、ずいぶん後になって感じることがある。
多分、自分だけのことではないと思う。多くの小説などでも、その機微が描かれていることが多い。

後で考えれば、何かに導かれるような、目に見えない運命とすら感じることである。多分、どういう人間でも程度の差こそあれ、そういうことがあるのではないだろうか?
人間の心の揺れ、不安定さ、微妙なダイナミズム、といった範疇のような気がする。これがあるから、人間であるともいえそうだ。理屈じゃない、気持ちだよ、という感じ、・・・。

コロナ禍の時代だから、こういう妙なことも考えるのかも知れない。人間のよって立つ場の安定性が、そこに乗る人間の心とか感情に強く影響するということか?
人の成長が、自立とか独立とか、協調とか、学んできたが、それは意識の制御下にある状態で成り立つが、制御の及ばない領域があって、そこでは、環境やインフラの揺らぎを強く受けるのかも知れない。

ま、たまには、そんなことも謙虚に考えてみたい気がする。
(まとまりのない話だが・・・。2020 年末 井野)