最近、私は2年前に住み始めた古い大団地の管理組合絡みの活動をしている。2年任期で、今年の4月から2年目に入る。
そのためもあるが、電子書籍関連の活動に身が入らない。
特に、初めて人類が対応せざるを得ない、コロナ禍の状況が、先の見通せない状態が続いており、人間そのものの心が不安定でないわけがない。そういう不安定な世相で、イマイチ落ち着かない気がする。
そういう状況で世相を観察すると、どうも、私が人間関係資産論で主張するプラスの面より、マイナスの面が目立つような気がしている。
特に、政治や、経済や、社会の出来事を妙にバイアスされたマスコミの報道中心に見聞きしていると、人間関係資産を悪用する意識のないままに、結果的には悪用しているケースが多いように思う。人間関係資産を活用する人は、あまり意識的ではなく、むしろ無意識的な行動をしている気がする。
そもそも、人脈とか人間関係資産を、表に出して議論することは少なく、しかし、黙って行動するときに、知る人ぞ知る範疇としてひっそりと活用されてきたものなのだ。それを人間関係資産論の言うように、積極的に、意識的に資産意識にして、蓄積し活用している人は、あまりいない。無意識に近い形で実践している人は、そう多くはないが、いると思われる。
しかし、その活用自体が、必ずしも正しいとは限らないことが少なくない、正しくない活用ではあるが、本人は「正しくない」という意識は希薄である。本人は何となく、自然に人間関係をうまく使うという感覚でやっているのだろう。ある種、無意識な感覚であるので、その引き起こす結果が正しいか、否かということはあまり考えていないのだろう。
そういう見方で、政治や社会の現象を見ると、本人の意識とは離れて、人間関係資産活用していると思われることは多い。しかも、その引き起こす結果が、「正しくない」場合に、悪目立ちするように感じる。
最近、TVで見たが、東大のAI研究の近辺では、起業することを当たり前のように考える学生が多いそうだ。旧来の価値観、役人、官庁、大企業志向のでなく、自分の可能性を最大限生かす方向を目指して、起業が大きな方向になっているとのこと。一昔前からの米国のシリコンバレー的な流れが、ようやく来ているようだ。その中の議論に、旧来の目指す方向でのマイナス方向のこととして、人間関係に煩わせられる、馴れる(適応する)ために無駄な時間がかかるといったことを指摘していた。効率を阻害する要因である。まさに、人間関係資産の負の資産側面である。
これは、結構面白い指摘である。人間関係資産のマイナス面をついている。この辺りの議論は、今後研究したい課題だ。単なる「活用の正しさ」というレベルでなく、存在そのものが、マイナス方向に働く場合があるということだ。面白い課題だと思う。今後、よく考えてみたい。
(井野)